産休・育休のお金

育児休業給付金はいくら?計算前に必要な給与・雇用保険・休業期間の確認

育児休業給付金の目安は67%・50%の式で考えますが、最終額は給与基準、雇用保険、育休中の賃金、上限額、ハローワーク確認で変わります。

育児休業給付金の金額確認に必要な給与明細と休業予定のイラスト
金額を考える前に、賃金、雇用保険、休業期間をそろえる必要があります。

育児休業給付金の目安は、原則として「休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 67%」から考えます。育児休業開始から181日目以降は50%です。ただし、最終的な金額は、雇用保険の被保険者か、休業開始前の給与、賃金支払基礎日数、育休開始日、育休中に会社から給与・手当が出るか、上限額・下限額により変わります。正確な金額は、ハローワークに提出される賃金月額証明書などをもとに算出されます。(厚生労働省)

この記事では、計算結果を断定するのではなく、見積もり前に整理したい事実、人事・労務担当・健康保険・ハローワークに確認すること、公式シミュレーションの使い方をまとめます。

育休手当だけでなく、出産・育児まわりの支援候補、足りない事実、人事・労務担当・保険者・自治体・ハローワークへの質問を整理できます。

この記事の位置づけ

この記事は、育児休業給付金について「何を確認すれば見積もりに近づけるか」を整理するための情報です。最終的な受給可否、支給額、支給日、申請期限は、人事・労務担当、加入している保険者、事業所所在地を管轄するハローワーク、公式通知で確認してください。

まず分ける:産休・育休・出産手当金・育児休業給付金は別もの

育児休業給付金を調べるときに混乱しやすいのは、「休む制度」と「お金の制度」が混ざることです。

用語English主な担当何の話か
産前産後休業・産休産休勤務先・人事・労務担当出産前後に仕事を休む制度。
育児休業・育休育休勤務先・人事・労務担当子を養育するために仕事を休む制度。原則1歳未満の子が対象で、特別な事情がある場合は最大2歳まで取得可能とされています。(厚生労働省)
出産手当金出産手当金健康保険者健康保険側の給付。協会けんぽでは、被保険者が出産のため会社を休み給与を受けない場合、出産日前42日、多胎妊娠は98日、出産翌日以後56日の範囲が対象です。(協会けんぽ)
育児休業給付金育児休業給付金ハローワーク・雇用保険雇用保険側の給付。育児休業を取得した雇用保険の被保険者が一定要件を満たす場合に支給されます。(厚生労働省)
出生時育児休業給付金出生時育児休業給付金 出生時育児休業ハローワーク・雇用保険産後パパ育休など、出生直後の休業に関係する給付。
出生後休業支援給付金出生後休業支援給付金ハローワーク・雇用保険一定要件を満たす場合、出生直後の一定期間について13%相当が加わる制度。(厚生労働省)

育児休業給付金は、会社の給与でも、自治体の子育て支援でも、健康保険の出産手当金でもありません。雇用保険の給付として、主に人事・労務担当とハローワークが関わります。

育児休業給付金はいくら?公式計算式

厚生労働省のPDFでは、育児休業給付金の支給額は次の式で示されています。

期間基本式
育児休業開始から180日目まで休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 67%
育児休業開始から181日目以降休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 50%

公式PDFでは、支給日数は原則30日で、育児休業終了日を含む支給単位期間は休業終了日までの日数とされています。また、出生時育児休業給付金が支給された日数は、67%の上限日数である180日に通算されます。(厚生労働省)

「給与月額 × 67%」と考えてよい?

ざっくりした感覚としては近い場合がありますが、記事内では「給与月額の67%が必ず支給される」とは書かない方が安全です。理由は、実際には次の要素が関係するためです。

変わる要素なぜ変わるか
休業開始時賃金日額原則、育児休業開始前6か月間の総支給額を180で割るが、賞与・臨時賃金・賃金支払基礎日数の扱いがある。(厚生労働省)
支給日数原則30日。ただし最後の支給単位期間などは日数が変わる。(厚生労働省)
上限・下限令和8年7月31日までの上限・下限がある。(厚生労働省)
育休中の賃金会社から育休期間を対象とした賃金が出ると、減額または0円になる場合がある。(厚生労働省)

公式例:賃金月額30万円の場合

厚生労働省PDFでは、休業開始時の賃金日額が10,000円、賃金月額が300,000円で、支給単位期間に賃金が支払われていない場合、育児休業給付金は「10,000円 × 30日 × 67% = 201,000円」と例示されています。(厚生労働省)

これはあくまで公式例です。読者本人の金額は、人事・労務担当が作成する賃金月額証明書、育休中の給与・手当、上限・下限、ハローワークの確認によって変わります。

上限額・下限額に注意

令和8年7月31日まで、厚生労働省PDFでは、休業開始時賃金日額の上限額は16,110円、下限額は3,014円とされています。支給日数30日の場合、67%の支給上限額は323,811円、50%の支給上限額は241,650円です。(厚生労働省)

期間支給日数30日の上限額支給日数30日の下限額
67%期間323,811円60,581円
50%期間241,650円45,210円

編集・実装メモ:この上限・下限は「令和8年7月31日まで」の額です。2026年8月以降に公開する場合、または公開後に更新する場合は、厚生労働省の最新PDFで必ず再確認してください。

計算前に必要な5つの事実

1. 雇用保険の被保険者か

育児休業給付金は、雇用保険の被保険者が育児休業を取得し、一定要件を満たす場合に支給される給付です。厚生労働省Q&Aでは、休業開始日前2年間に賃金支払基礎日数11日以上、または就業時間80時間以上の月が12か月以上あることなどが主な要件として示されています。(厚生労働省)

人事・労務担当に確認する言い方:

私は雇用保険の被保険者として、育児休業給付金の対象確認を進めてよい状況でしょうか?

2. 休業開始前6か月の給与

休業開始時賃金日額は、原則として育児休業開始前6か月間の総支給額を180で割って考えます。厚生労働省Q&Aでは、保険料等が控除される前の額で、賞与は除くと説明されています。(厚生労働省)

ただし、PDFでは、賃金支払基礎日数が11日未満の賃金月を除くこと、条件により80時間以上の賃金月を見ること、臨時賃金や3か月を超える期間ごとに支払われる賃金を除くことも示されています。(厚生労働省)

人事・労務担当に確認する言い方:

休業開始時賃金日額の計算に使う賃金月、賃金支払基礎日数、除外される賞与・手当の扱いを確認できますか?

3. 育休開始日・終了予定日

育児休業給付金では、育休開始日がとても重要です。厚生労働省Q&Aでは、産後休業から引き続いて育児休業を取得した女性の場合、育児休業開始日は出産日から起算して58日目とされています。また、男性も育児休業給付金の対象となるとされています。(厚生労働省)

出産予定日や育休開始日から休業期間を確認するには、厚生労働省の母性健康管理・育児支援ポータルの自動計算ツールも使えます。母性健康管理・育児支援ポータルは、出産予定日または希望する育児休業開始日を入力すると、法令に基づく申請時期や休業期間を自動計算すると説明しています。(母性健康管理・育児支援ポータル)

4. 育休中に給与・手当・賞与が出るか

育休中に会社から賃金が出る場合、育児休業給付金は減額される場合があります。厚生労働省Q&Aでは、1支給単位期間に、休業開始時賃金日額×支給日数の80%以上の賃金が支払われている場合、支給額は0円になるとされています。80%未満でも、支払われた賃金額に応じて減額される場合があります。(厚生労働省)

人事・労務担当に確認する言い方:

育休中に給与、会社手当、賞与、固定手当などが支払われる場合、育児休業給付金の計算に影響する可能性がありますか?

5. 育休延長・保育園申込・パートナー育休の可能性

保育所等に入れないことを理由に育児休業給付金の支給対象期間を延長する場合、2025年4月から手続きが変わっています。厚生労働省は、入所保留通知などに加えて、保育所等の利用申込みが速やかな職場復帰のために行われたものと認められることが必要になったと説明しています。添付書類として、延長事由認定申告書、市区町村に利用申込みを行ったときの申込書写し、利用できない旨の通知などが示されています。(厚生労働省)

この点は、人事・労務担当、住んでいる市区町村、事業所所在地を管轄するハローワークの三者を分けて確認してください。

公式シミュレーションを使う

厚生労働省は、育児休業中の給付金の試算ツールを案内しており、出産時や育児休業中に受け取れる給付金などの額を簡単に試算できるツールと説明しています。(厚生労働省)

ただし、試算ツールを使う前に、次の情報を手元に置くと迷いにくくなります。

準備する情報確認先
出産予定日・出生日病院・母子健康手帳
育休開始予定日・終了予定日人事・労務担当
休業開始前6か月の給与給与明細・人事・労務担当
雇用保険の加入状況人事・労務担当・給与担当
育休中の給与・手当の有無人事・労務担当・給与担当
パートナーの育休予定パートナーの人事・労務担当
延長の可能性市区町村、人事・労務担当、ハローワーク

人事・労務担当にそのまま送れる質問テンプレート

日本語テンプレート

お世話になっております。育児休業給付金の目安を確認するため、以下を教えていただけますでしょうか。 1. 私は雇用保険の被保険者として、育児休業給付金の対象確認を進めてよい状況でしょうか。 2. 育児休業開始予定日は、社内上いつになりますか。産後休業から続けて取得する場合の開始日も確認したいです。 3. 休業開始時賃金日額の計算に使われる賃金月、賃金支払基礎日数、除外される賞与・手当の扱いを確認できますか。 4. 初回申請は会社経由で、いつ頃、どのハローワークへ提出予定でしょうか。 5. 育休中に給与・会社手当・賞与などが支払われる場合、育児休業給付金に影響する可能性はありますか。 6. 出生後休業支援給付金やパートナーの育休に関係して、追加で必要な確認・書類はありますか。 7. 保育園に入れない場合の延長について、会社側で必要な書類や提出タイミングはありますか。

確認先 map:誰が何を担当する?

窓口担当することこの記事での確認ポイント
人事・労務担当・勤務先育児休業の申出、社内様式、賃金月額証明書、申請実務まず人事・労務担当に確認。提出者は原則事業主です。(厚生労働省)
ハローワーク雇用保険の育児休業等給付の申請先・審査・支給申請先は事業所所在地を管轄するハローワークです。(厚生労働省)
健康保険者出産手当金・出産育児一時金など健康保険側の給付出産手当金は健康保険側の制度で、育児休業給付金とは別です。(協会けんぽ)
区市町村保育園申込、入所保留通知、児童手当など育休延長に関係する保育園申込・通知を確認。
病院・クリニック出産予定日・出生日、母子健康手帳・証明休業開始日や申請書類の事実確認に関係。

次にやること

  1. 人事・労務担当に、雇用保険加入、育休開始日、賃金月額証明書、初回申請予定を確認する。
  2. 給与明細を見て、休業開始前6か月の給与と賞与・手当の扱いを確認する。
  3. 育休中に給与・会社手当・賞与が出るか確認する。
  4. 出産予定日・出生日をもとに、産休・育休の開始日を整理する。
  5. 厚生労働省の試算ツールで概算を確認する。(厚生労働省)
  6. 保育園に入れない場合の延長可能性があるなら、市区町村の保育園申込とハローワークの延長手続きを分けて確認する。(厚生労働省)